【ニュースで頻出】「レイシスト」の意味と正しい使い方は？具体例や類語や対義語について詳しく解説！

ニュースで耳にする「レイシスト」という言葉。レイシストの意味をご存知ですか？ここでは、レイシストの意味や正しい使い方、類語や対義語についても解説していきます。法整備が進んでもレイシストは存在しており、いなくなることがないのが現実です。

レイシストの意味と由来

「レイシスト」という言葉を聞くたびに、嫌な思いをしている人が世界中には多数いるのです。

そこで、「レイシスト」とは一体どのようなものなのかをご紹介します。

レイシストの意味

「レイシスト」の意味は「人種差別に基づいた発言や行動をする人」のことです。
生まれや肌の色、髪の色や骨格などによって分類されている「人種」を理由にして、政治的や社会的、経済的に差別的な言動を行う人のことを表しています。

また、差別するのは「人種」ではなく、国籍や民族、言葉や貧富の差など、生まれながらにして自分ではどうしようもないことを理由に差別する人のことも「レイシスト」と呼ばれています。
この「レイシスト」ですが、もともとは英語が由来となっています。
英語では一体どのような意味があるのでしょう。

レイシストの英語的な由来・語源

「レイシスト」は英語の「racist」が由来となっています。
「racist」は、もともと「人種」という意味がある英語の「race」から派生した言葉です。

「race」から「racist」が生まれる前に、英語で「racism（レイシズム）」という言葉が生まれました。これは、「人種主義」を意味する言葉です。
そして、この「racism」から、人種差別的な言動をとる人のことを「racist（レイシスト）」が生まれたのです。つまり、「racist」は日本語では「人種差別主義者」と訳されます。

レイシストの使い方の解説・例文

まずは「レイシスト」という言葉の使い方の解説と、例文をあわせてご紹介します。
「レイシスト」は物事や人を評価するときと非難するときの2つのシーンで使われることがあります。

物事・人の評価のための使い方・例文

まずは、物事や人を評価するために「レイシスト」を使う際の解説です。
考え方は人それぞれですが、その人の考え方が「人種差別的」である場合に、その人のことを「レイシスト」と表現します。

例文としては

「彼らはレイシスト集団で、白人至上主義をとなえている。」
「彼は極端なレイシストなので、注意した方が良い。」
などです。

物事・人を非難するための使い方・例文

続いては物事・人を非難するために「レイシスト」を使う場合の解説です。レイシストであることを非難する場合には、使い方に注意が必要です。

例文は
「レイシストの話は聞いているだけでも嫌な気分になってくる。」
「黒人だからといって断るなんてレイシストだな。」
などです。

レイシストが関わる事例

レイシストが関わっている事例は歴史的にも多数あります。歴史の授業で習ったことを覚えている方も多いでしょう。そして、レイシストが関わった事例は全てが遠い過去のことばかりではありません。

近年でも様々な問題が起こっており、ニュースでも何度も取り上げられています。これからご紹介していく事例は、全て現実に起こったことなのです。

レイシストが関わる歴史的な事例

レイシストが関わっている歴史的な事例として、最もよく知られているのが1933年にナチス政権とその協力者によって行われた、ユダヤ人の迫害および殺戮を行った「ホロコースト」ではないでしょうか。
ドイツで政権を握ったナチスは、ドイツ人を「優れた人種」として、ユダヤ人を「劣った人種」とみなしました。ユダヤ人はドイツにとって最大の敵だとみなされて、ヨーロッパ在住のユダヤ人の3人のうち2人を殺害したのです。
ナチスは、ユダヤ人だけでなく、ロマ族や身体障碍者、一部のスラブ民族なども迫害の対象としました。ナチスは「白人人種が最も優れた民族であり、ユダヤ人に汚されるべきではない」という考えのもと、このような行動を起こしたのです。

他にも、17世紀後半からアメリカで行われていた「黒人奴隷制度」もレイシストが行った事例の一つです。アフリカ大陸各地から多くの黒人を南北アメリカ大陸に送り込み、奴隷として安い賃金で働かせました。
この黒人奴隷制度は、1861年から行われた南北戦争で、リンカーン大統領が奴隷解放宣言を行ったことによって廃止されました。
それでもなおアメリカ合衆国においては、黒人には経済的に自立する基盤がなく貧困が続きました。現在では法的にも黒人差別はなくなったように見えますが、実際には人種差別問題は根強く残っているというのが現状です。

他にも、南アフリカ共和国で1991年まで続いた、白人と有色人種を差別する人種隔離制度の「アパルトヘイト」も有名です。
白人・黒人・カラード（白人と有色人種の混血）・アジア人の4つのグループに分類し、白人があらゆる面で優位に立てるように、白人以外を差別していました。
アパルトヘイトは、1991年に全廃され、1994年には南アフリカ史上初の、全人種参加による制憲議会選挙が実施されたのです。

レイシストが関わる近年の事例

レイシストが関わっている事例は、昔のことばかりではありません。近年でも多数の事例があるのです。ニュースで見て記憶にあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2014年には、スペインのバルセロナでサッカーの試合中に事件が起こりました。バルセロナの選手に対してレイシストからの非常に卑劣な行為が行われたのです。
黒人のアウベス選手に、敵のサポーターがピッチにバナナを投げ込みました。このバナナを投げ込んだサポーターは逮捕され、施設とスタジアムに出入り禁止という処罰が下されています。

また、直近では2020年にアメリカでも事件が起こっています。ミネソタ州の白人警官が、黒人男性の首を膝で8分間以上押さえつけて殺害したのです。
黒人男性は、偽札を使ったという疑いで白人警官に取り押さえられ、やめてくれと叫んでいるにもかかわらず首を押さえ続けたのです。これはSNSで動画が拡散され、世界中から非難の声があがり、デモや暴動を引き起こしました。

レイシストが引き起こす事件は、海外だけではありません。日本でも在日韓国人や在日朝鮮人、アイヌ民族への人種差別が残っています。
現在、在日韓国人や朝鮮人は約50万人、アイヌ民族は約1万5千人と言われています。彼らにひどい言葉を投げかけたり、暴力をふるったりといった差別が行われているというのが現状です。

レイシストの類語

「レイシスト」には様々な類語があります。類語をいくつか覚えておくとスムーズに会話が進むことも多いです。ぜひ「レイシスト」の類語とその意味をチェックしてください。

人種差別主義者の意味

「レイシスト」とほぼ同じ意味で使われる類語が「人種差別主義者」です。
「レイシスト」を日本語に訳した際に使われる言葉であり、レイシストの意味を聞かれたら「人種差別主義者」と説明するとわかりやすいでしょう。
人種差別主義者とは、人種の違いによって差別を行う人の意味であり、人種間による差別を正当化して考えています。

人種主義者の意味

「レイシスト」の類語として「人種主義者」もあります。
これは、上でご紹介した「人種差別主義者」と同じ意味であり、特定の人種を優れている・劣っていると考える人のことです。
レイシストの日本語訳で使われることもあります。

民族主義者の意味

「レイシスト」の類義語として「民族主義者」という言葉もあります。
これは、自分が属している民族が他の民族よりも優れていると考えて行動する人の意味です。上でご紹介した「ホロコースト」はまさに民主主義者の行動です。

民主主義者は英語で「nationalist（ナショナリスト）」で、民主主義は「nationalism（ナショナリズム）」です。

排外主義者の意味

「レイシスト」の類義語、最後は「排外主義者」です。
これは、自分の国以外の外国人や外国の製品、外国の思想などを排除すべきだという考えの人のことです。

自分の国のみに強い愛着を持ち、他国の文化を受け入れない「愛国主義者」とも呼ばれます。

レイシストの対義語

「レイシスト」の類義語をご紹介しましたが、対義語も併せてご紹介していきましょう。対義語も類義語と同様にいくつかの言葉があり、それぞれ少しずつ意味が異なっていますので解説します。

人道主義者の意味

「レイシスト」の対義語、まずは「人道主義者」です。
人道主義者とは、「人を差別することなく、全ての人間を尊重し人類全体の幸せのために行動する人」のことです。英語では「ヒューマニスト」と呼ばれています。

博愛主義者の意味

「レイシスト」の対義語として「博愛主義者」もあります。
博愛主義者とは「すべての人を平等に愛する人」という意味であり、人種や宗教、国家や階級などの違いを気にすることなく平等に接し、大切にしていきましょうという考えです。

平等の意味

「レイシスト」の対義語、続いては「平等」です。
「平等主義者」は、「様々な要素によって差別することなく、全ての人類を平等に扱うという考え方を持っている人」の意味があります。

優遇の意味

最後は「優遇」です。
優遇は「手厚くもてなすということや優先的に扱うこと」という意味です。レイシストは人種差別的な発言や言動を行う人という意味なので、対義的な意味として使われています。

レイシストとは差別的な事例・言動に対して使う表現

「レイシスト」の意味や使い方、歴史的なレイシストの行動や類語や対義語について例文を交えながら解説しました。
「レイシスト」とは、人種差別を行う人々のことを指しています。現在でもレイシストと呼ばれる人々は存在し、その活動がなくなることはありません。

「レイシスト」の活動によって、これ以上不幸な思いをする人が出ないよう、差別が根本的になくなっていくように願っています。