仕事ができてキリっとした女性のことを「凛とした」女性と表現することもありますが、この「凛とした」という言葉にはどのような意味や由来があるのでしょうか。知っておきたい対義語や類語、英語での表現なども含めて、「凛とした」について解説します。
「凛とした」の意味とは
何となく意味が分かっているつもりでいたけれど、いざ使おうとすると細かいニュアンスまで把握できていなかったという言葉の一つが「凛とした」ではないでしょうか。
また、実は「凛とした」にあるあまり知られていない意味についても触れながら、「凛とした」の正しい意味についてご紹介しましょう。
意味は「りりしく引き締まっている」
「凛とした」の読み方は「りんとした」、そして意味は「りりしく引き締まっている、きりっとしており頼もしい、力強い」となります。程よい緊張感を持っているような様子が伺え、ポジティブな表現です。
また、「凛とした」は見た目に使うこともできますし、態度に対して使うこともできる表現です。ですから、「凛とした顔つきで入社式に臨む。」という使い方もできますし、「凛とした態度で入社式に臨む。」という使い方もできます。
ちなみに、「凛とした」を使う時、女性のことを形容し「凛とした」女性と使うことが多いですが、「凛とした」には性別の制限はありません。「凛とした」男性という使い方も正しいです。
「寒さが厳しい」という意味もある
実は「凛とした」には、あまり知られていないもう一つの意味があります。それは「寒さが厳しい」という意味です。
「朝起きて庭に出ると、とても寒かった。冬の気配がした。」というと普通の文章ですが、「凛とした」を使い「朝起きて庭に出ると、空気が凛としていた。冬の気配がした。」としてみましょう。
日常生活ではあまり使用することのない詩的な表現ですが、適当な場面で使用できれば知的な文章になります。
「凛とした女性」の意味は？
「凛とした」女性という表現があります。「凛とした」の使い方としてかなり上位に入るほどよく聞く表現ですが、「凛とした」女性といった場合にはどのような意味になるのでしょうか。
「凛とした」女性というのは、「凛とした」という言葉の意味にあるように、りりしく、洗練されており、しっかりしている女性について使われることが多いです。
スッキリとした外見で仕事ができる女性が多く、人に流されることなく自分の意志を持っています。時にはクールな雰囲気が近寄りがたい印象を与えることもありますが、基本的には頼られる存在ということでポジティブな意味となります。
「凛とした」の由来
「凛とした」という言葉の由来は「厘と」という古語によります。「りんと」と読むこの古語は、単位を表す「厘」という漢字が使われていることからも分かるように「計量が正確である様子」という意味があります。
その「厘と」と「凛と」が読み方が同じであることから、「凛と」という言葉も「計量が正確である様子」という意味を持つようになりました。「八匁りんと量って」というのは「八匁きちんと量って」という意味です。
そして、その「凛と」が次第に「きちんとした、きりっとした」という意味でも使われるようになりました。
「凛」と「凜」の違いは？
「凛とした」という表現を使う時に、「凛とした」と「凜とした」の違いについて考えたことはありませんか。この2つ、パッと見た感じは同じ漢字ですが、漢字の右下の部分が「示」なのか「禾」なのかの違いがあります。
結論から言うと、この「凛」と「凜」は読みは共に「りん」で、意味もほぼ同じです。では何かが違うかと言えば、もともとあった漢字が「凜」で正字と言われます。そしてその「凜」を書きやすくして作られたのが「凛」です。
したがって、日常生活のレベルで「凛とした」と言いたい場合にはどちらの漢字でも構いませんが、人名として使用されることの多い「凜」と「凛」ですので、名簿をパソコン入力する際などには細部にまで払う必要があります。
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「凛とした」の正しい使い方・例文
「凛とした」という言葉の正しい意味が分かっていても、使い方を知らなければ適切に運用することができません。ここからは「凛とした」の正しい使い方を例文と共にご紹介しましょう。
まず、「凛とした」という形で使う場合には、「凛とした」声、「凛とした」顔のように後ろに名詞を置きます。そして、「凛とした」は「凛と～する」という形にすれば、動詞としての使い方もできるので覚えておくと便利です。
例文を挙げると名詞として使う場合は「静まり返った会場に彼女の凛とした歌声が響いた。」で、動詞として使う場合は「静まり返った会場に彼女の歌声が凛と響いた。」となります。
人への使い方
「凛とした」を人へに使う際は女性に使うことが多いですが、男性に対して使っても決して間違いではありません。例文を挙げると「どんなトラブルが起きても彼女の凛とした態度は決して崩れない。」や「彼の凛とした生き方にあこがれを持つ。」となります。
人以外での使い方
「凛とした」は人に使うだけでなく、景色や佇まいなど、その存在感について表現する時に使うことができます。
例文を挙げると「長い道を歩かなければならないが、そのゴールに待ち受けている凛とした景色は一見の価値がある。」や「山の中に建っている一軒家の凛とした佇まいに言葉を失う。」です。
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「凛とした」の類語
「凛とした」という表現は、非常に知的な雰囲気のする言葉ですのでぜひ正しく使えるようになっておきたいですが、同じ文章で多用できるような表現ではありません。「凛とした」と一緒に類語も頭に入れておき、適宜入れ替えて使えるようにしておきましょう。
潔い
「凛とした」の類語、まずご紹介するのは「潔い」です。読み方は「いさぎよい」で、意味は「さっぱりしてすがすがしい様子」となります。
物事に対してくよくよせず、決断力に満ちている人について使うことができます。例文を挙げると「仕事を辞めて海外に引っ越すという彼女の潔い決断を応援したい。」です。
凛然たる
「凛然たる」というのも「凛とした」の類語です。読み方は「りんぜんたる」で、意味は「凛とした」とほぼ同じで「寒さが厳しい、りりしく勇ましい様子」となります。
例文は「いくら相手が会長とはいえ、賛成できない時には凛然たる態度で意見を述べるべきだ。」となります。
きりりとした
「凛とした」の類語には「きりりとした」という言葉もあります。「きりりとした」は主に外見に使う言葉で、意味は「引き締まっており、隙がない様子」となります。「きりりとした」顔つき、「きりりとした」眉などと使えるほか、「きりりとした」味という表現もあります。
「凛とした」の対義語
語彙力はいくら高くても邪魔になるものではありません。そして語彙力を効果的に高めるのによい方法が、新しい言葉を覚える際にはその類語や対義語も一緒に覚えてしまうという方法です。
ここからはそんな時に参考になるように「凛とした」の対義語をご紹介しましょう。
おどおどした
「凛とした」の対義語、まず一つ目は「おどおどした」です。意味は「恐れなどがあり、ためらい落ち着かない様子」となります。
決心するのを恐れてしまい、挙動不審になっているような時に使うことができる対義語です。
締まりのない
「凛とした」の対義語、次にご紹介するのは「締まりのない」です。読み方は「しまりのない」で、意味は「緊張感のない様子、たるんでいる様子」となります。
例文を挙げると「長期の休みですっかり生活が締まりのないものになってしまった。」となります。
たじろぐ
「凛とした」の対義語、最後にご紹介するのは「たじろぐ」です。「たじろぐ」は動詞で、「相手の勢いに圧倒され、ひるんだり尻込みしたりする様子」です。
例文を挙げると「凛とした態度で反対意見を述べられ、思わずたじろいでしまった。」となります。
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「凛とした」の英語表現
ビジネスの場面でも日常の場面でも英語が使えると有利に働くことが多い現代社会。
日本語で新しい語彙を身に付ける時には、併せて英語での表現も覚えるようにすると効率よく英語力を伸ばせるのでおすすめです。
ここからは「凛とした」の英語表現をご紹介しましょう。
意味が近いのは「dignified」
「凛とした」を英語にした時に一番意味が近いとされているのは「dignified」です。日本語訳では「威厳のある、品位のある」となり、「凛とした」と似たような意味を表します。
例文は「The lady looked very dignified with her black suit」で、日本語訳は「その女性は黒いスーツを身にまとい、非常に凛とした佇まいであった。」となります。
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「凛とした」の意味を理解して正しく使おう！
褒める時に積極的に使いたい「凛とした」という表現。
一般的に「きりっとしている、しっかりしている」と表現するよりも「凛とした」と言えるとよりスマートな印象になります。
「凛とした」の正しい意味や使い方をしっかりと把握し、適切な場面で使えるようになりましょう。
